恋する花束を君に
そして、次の日。
商品部の課長が出勤し、やっと商品の写真を撮れる状態になった。
撮影は午前中いっぱいかかり、データがわたしのところに届いたのはお昼頃だった。
わたしは休憩時間を削り、みんなが食堂へ向かう中、1人でパソコンに向かっていた。
作らないといけないポスターは2パターン。
それを各店舗に5枚ずつ発送出来るよう準備しないといけない。
わたしは去年のデータを引っ張り出してきて、デザインが被らないよう気を付けながら作成した。
すると、デスクに社内の自販機で買える紙コップホルダーに入ったカフェラテが置かれた。
ふと見上げると、カフェラテを置いてくれたのは薗田さんだった。
「苦いの苦手だって言ってたのでカフェラテにしてみたんですが、コーヒーはブラック派でしたか?」
そう言い、片手をポケットに入れる薗田さん。
もう片方の手には、同じカフェラテが入っている紙コップホルダーを持っていた。
「いえ、カフェラテ派です!」
「良かった。間違ってたら、どうしようかと思いました。」
「ありがとうございます!」
「何か大変そうですけど、頑張ってくださいね。」
そう言うと、薗田さんは窓側にある自分のデスクへと向かって行った。
薗田さん、優しい。
わたしは小さく「いただきます。」と言うと、有り難く薗田さんが買って来てくれたカフェラテを飲んだ。
はぁ、、、美味しい。
わたしは薗田さんの優しさに感謝しながら、午後も引き続きポスターのデザインデータを作り続けた。