恋する花束を君に
「そうですね、恋愛って難しいですよね、、、。でも、わたし思うんですけど、"好き"とか"愛してる"って、そんなに頻繁に言う必要もないんじゃないかと思ってるんですよ。確かに愛情表現を求める女の人はたくさん居ますけど、そんな頻繁に言ってたら、特別感がなくなるというか、、、。」
「特別感、、、。」
「たまに言われるからキュンとするわけで、毎日言われてたら空気と同じになると思いません?言われて当たり前みたいな。」
わたしはそう言ったところで、自分が語りすぎていることに気付き、「あ、薗田さんが話をする番なのに、わたしが喋りすぎですね。すいません!」と言うと、普段笑うことのない薗田さんが声に出して笑った。
「三崎さんって、面白いですね。そして、話し出すと熱くなりやすいタイプ。」
わたしは恥ずかしくなり、「すいません、ついつい、、、。」と言い、顔が熱くなるのが分かった。
「俺も三崎さんと同じ考えなんですよ。でも、俺は感情を表に出すのが苦手なタイプなんで、それがいけなかったんでしょうね、、、。しかも、その婚約者が新しく付き合い始めた男が、俺の親友で、、、俺の知らないところで2人で会ってたんだなぁと思ったら、誰も信じられなくなりました。」
薗田さんはそう言うと、「親友に大切な人をとられるなんて、かっこ悪いですよね。」と言い、鼻で笑うと最後の一つの袋にシールを貼り、「ほら!2人なら早く終わった!」と微笑んだ。
「ありがとうございます!助かりました!」
「このくらいの作業、普段仲良くしていても手伝ってくれる人いないんですね。」
「そりゃあ、みんな早く帰りたいじゃないですか。」
わたしがそう言うと、薗田さんは「みんな自分が一番ってことですね。」と言い、出来上がった袋詰めたちを見た渡していた。
「そうですね。でも、薗田さんは違うじゃないですか。自分の時間をわたしの手伝いに使ってくれたんですから。本当にありがとうございました。」
わたしがそう言い、頭を下げると、薗田さんは「三崎さんだから手伝ったんですよ。」と言い、「それじゃ、俺らも帰りましょうか。」と椅子にかけてあったジャケットを羽織った。
わたしも帰り支度をすると、薗田さんと共にタイムカードを切る。
そして、わたしは最後に「薗田さんはかっこ悪くないですよ。」と言い、「それじゃあ、お疲れ様でした!」と薗田さんに手を振ると、車通勤の薗田さんとは反対方向へと歩き出し、家路についたのだった。