恋する花束を君に
そして、次の日。
退勤時間が過ぎたあと、居酒屋を貸し切っての飲み会が行われた。
たまにしか見掛けない社長はマニュアル通りのような挨拶をし、みんなで乾杯をする。
わたしの両隣には、由美子ともう一人の同じ部署で1つ年上の絵里が座っていて、みんなが生ビールを一気飲みする中、わたしだけレモンサワーを飲んでいた。
元々お酒が弱いのもあるが、どうしてもビールが美味しいと思えないのだ。
「はぁ〜、仕事あとのビールは最高だね!」
ジョッキを片手に絵里が言った。
すると、「はーい、そこの植松絵里さん。そこ退けてくださーい。」とビールのジョッキを片手に航太がやって来た。
航太が隣に来ないように由美子と絵里の間に座っていたのに、航太は無理矢理割り込んで来ようとした。
「何よ、航太!あんたあっちで飲んでたんじゃないの?!」
そう言って、絵里が航太を追い払おうとする。
しかし、航太がすんなり居なくなるわけもなく、無理に絵里を押し退け、わたしの隣に座り込んで来たのだ。
そんな航太に絵里は、「本当、航太はなごみのこと好きだよね〜。」と言い、呆れ顔でビールを飲んでいた。
「なごみも俺のこと好きだからさ!」
航太が勝手なことを言うので、わたしは「一度も好きだなんて言ったことないんですけど?」と言い返した。
「言わなくても分かってるから!なっ!」
そう言いながら、航太がわたしの肩を抱き寄せて来た。
わたしは「やめてよ!」と言ったのだが、航太はなかなか離してくれなかった。