恋する花束を君に
「おっ!カップル誕生か?!」
航太に抱き寄られるわたしを見て、周りの男性社員が煽ってくる。
調子に乗った航太は「俺の嫁だから、誰も手出すなよ?!」と言い、ビールを一気飲みすると、絵里に「もう一杯!」と頼んでいた。
絵里は呆れ顔で「人使いが荒いんだから!」とイラッとしていた。
「わたしは航太のところに嫁に行った覚えはありません!離して!」
「いいじゃんか〜!ここで誓いのキスでもするか?」
「冗談やめてよ!誓いません!誓いませーん!」
わたしが抵抗しながらそう言っていると、新しく注文したビールを運んできた絵里が「航太、やりすぎだよ。」と注意してくれた。
「うるせーなぁ。絵里、嫉妬してるのか?絵里も俺のこと好きだったのかぁ!」
「冗談でしょ?顔は良くても自分勝手な男なんてごめんだね!」
絵里はそう言うと、由美子の隣へと席を移動して行った。
あぁ、、、ついに絵里も航太が面倒くさくなって、行っちゃった、、、。
「なごみ、本当に俺ら付き合わない?」
航太の言葉にわたしは「いやっ。」と短く返事すると、レモンサワーを飲んだ。
「何でだよ!」
「それより、早くこの肩にある手離してくれない?」
「なごみは美人だし、仕事出来るし、本社のマドンナだから、俺らが付き合ったらお似合いだと思うんだけどなぁ〜。」
「ねぇ、わたしの話聞いてる?離してって言ってるんだけど。」
そう言いながらわたしは航太から離れようと抵抗する。
しかし、航太は「俺から離れるなよ。」と言いながら、更に抱き寄せてきた。
すると、「いい加減、離してあげたらどうですか?」とあまり聞いたことのない冷静な声が聞こえてきた。
声がした方をふと見上げると、そこには薗田さんが立っていた。