恋する花束を君に
「薗田さんって、仕事に関する必要最低限の会話しないで、いつも1人で居るじゃないですか?わたし、今の会社は2年目なんですけど、前の会社では、わたしも薗田さんと同じだったんです。いつも1人で誰とも仲良くしない、必要最低限の会話しかしない。そうやって過ごしていました。」
わたしがそう言うと、薗田さんは「三崎さんが?意外ですね。」と言った。
「わたし、元々人間不信で。人間ほど恐ろしい生き物はいないと思いません?仲良くしてたって、すぐ嘘はつくし、簡単に裏切る。それなら、1人で居た方が楽かなぁ〜って。」
そう言いながら、わたしは今まで傷付いてきた人間関係のことを思い出していた。
高校の時、親友だと思っていた子に裏切られたこと。
今まで付き合ってきた彼氏に浮気されたこと。
社会人1年目で一番最初に勤めていた会社で、尊敬していた先輩のミスをわたしのせいにされたこと。
すると、薗田さんは静かに頷き「そうですね。人間ほど、恐ろしい生き物はいないです。」と言った。
「でも、ここの会社に来て、考え方を変えたんですね?」
薗田さんはそう言うと、微かに優しく微笑んだ。
薗田さんが、微かにだけど微笑んだ!
わたしはそのことにドキッとしてしまった。
「そうなんです。もしかしたら、信じても良いと思える人が1人だけでも居るかもしれない、、、その1%にかけて、みんなと仲良くすることにしてみたんです。上辺だけですけどね。性格悪いですよね。」
わたしがそう言うと、薗田さんは「そんなことないですよ。その1%にかける勇気、俺は尊敬します。」と言ってくれた。
薗田さん、一見冷めた人に見えるけど、やっぱり良い人だ。
わたしはもっと薗田さんと色んな話しがしてみなくなった。
薗田さんとなら、自分を作らずありのままの言葉で話せる、そんな気がした。