恋は復讐の後で
前世の私は高校2年生の時、私はキノコと運命的な出会いをした。
愛しくて、奔放なキノコという存在に私の心は虜になった。
そして、大学院卒業後の私は念願のキノコ研究者として生活をしていた。
キノコの研究は没頭できたが、研究室というところの人間関係で躓いてしまった。
私の論文を嘲笑った如月教授が、殆ど私の研究を登用して認められキノコ研究の第一人者になった。
私は名声がなくても、キノコさえ研究出来れば良いと思った。
でも、私が邪魔になった如月教授を中心に私への嫌がらせがはじまり心が折れた。
私は大好きなキノコの研究が出来る研究室を離れなければならないくらい追い詰められた。
旅行や美容のようなお金の掛かる趣味は持っていなかったから、貯金は十分にあった。
このまま1人でひっそりと家でキノコを育てながら、老後を迎えるのだと思っていた。
それなのに30歳の時、初めて行った新宿で呼び込まれたホストクラブにハマってしまった。
昔からハマりやすい人間だった。
アニメやゲームにハマっていた時は、まだ平和だった。
お金が掛かるといってもたかがしれている。
キノコにハマり始めてからは、私は給与まで生み出していた。
キノコは趣味が実益に変わる魔法のような素晴らしい趣味なのだ。
しかし、ホストクラブは私の金を食い尽くす恐ろしい趣味だった。
その時の私は研究室でハブられ、陰口を言われ、虐げられて自己肯定感がどん底の状態だった。
研究室では誰も褒めてくれなかった私を褒めてくれたホストのスバルに、まんまとハマってしまった。
全財産を注ぎ込み、借金までした私は親から見捨てられた事で我に返った。
今日でホストクラブに通うのも最後にしようと思った。
私は初めてスバルに弱音を吐いた。
「もう、どうしたら良いのか⋯⋯死にたい⋯⋯」
「いや、売掛払ってから死ねよ。バカ子⋯⋯」
私に聞こえないように呟いたであろうスバルの呟きは私の耳にしっかり届いていた。
目を落とすと暗い照明で誤魔化されているが、床は埃だらけのホストクラブ。このような偶像崇拝の無価値な場所で、なぜ無意味な時間を過ごしていたのかと心が沈んだ。
よく見るとスバルは地黒でサーファー風なイケメンに見せてるだけで、大してイケメンでもない。
彼は意地悪そうに口をひん曲がらせる癖があり、その表情を見ると心が落ち込んだ。
私は彼と話した後にイライラする事も多いのに、彼に会うのをやめられなかった。
普通の女なら彼ごときに貢がないだろう。
店での売り上げも私くらいしか指名客がいないのではないかというくらい低空飛行だ。
しかし、私は普通の女ではなかった。
仕事を辞めた後は精神的に不安定で、褒められることに飢えている病的な女になっていたという自覚がある。
私にとって男の容姿など、そこまで重要ではなかった。
私は自分を褒めてくれる人なら誰でも良かった。
そして、褒めるどころか私を馬鹿にし、金蔓にしていた隣に座る男はもういらない。
自然にありのまま生きるキノコは食品になり、薬になり人の役に立つ存在だ。
その素晴らしさに触れてる時だけ、私の心は澄み渡る海のように穏やかだった。
心の拠り所はキノコだけだったのに、キノコを見ると研究室での辛い日々を思い出し辛くなってしまうこともあった。
キノコから離れ、ホストクラブなどで時間と金を費やしてしまった私は愚か者だ。
私が一生分の稼ぎを貢いだホストのスバルは私が死んでも良いらしい。
しかし、私は死にたいとは思っておらず人生をやり直したいと思っている。
「法外な値段じゃない⋯⋯1000円ちょっとのスパークリングワインを10万円近くで売っていて⋯⋯」
それでも、そういった店で飲み食いしたのだから払わなければいけないのは分かっている。
ただ、私は精神的に普通じゃなくなっていて、それを利用した男に従いたくないだけだ。
「お前みたいなブスと会話してやった手間賃だろうが」
ブス⋯⋯何度も言われてきた言葉は私の心を殺す力を持っていたようだ。
スバルは、私に営業することをやめたのだろう。
面倒な客だと切られたのかもしれない。
今まで私の事を表向きは綺麗だとか、美人だとか煽ててきたのに急に私を貶してきた。
私はその言葉と、スバルの見下すような表情に耐えきれず店を飛び出した。
店を出て気が付くと酒が入った虚な頭で、土手を彷徨っていた。
どれだけ歩いたのか、ここがどこなのかも分からない。
ただ川からは生ゴミのような汚い匂いがうっすらとして、気分が悪くなった。
その時、誰かに押された気もするが、私は川に落ちて死んだようだ。
愛しくて、奔放なキノコという存在に私の心は虜になった。
そして、大学院卒業後の私は念願のキノコ研究者として生活をしていた。
キノコの研究は没頭できたが、研究室というところの人間関係で躓いてしまった。
私の論文を嘲笑った如月教授が、殆ど私の研究を登用して認められキノコ研究の第一人者になった。
私は名声がなくても、キノコさえ研究出来れば良いと思った。
でも、私が邪魔になった如月教授を中心に私への嫌がらせがはじまり心が折れた。
私は大好きなキノコの研究が出来る研究室を離れなければならないくらい追い詰められた。
旅行や美容のようなお金の掛かる趣味は持っていなかったから、貯金は十分にあった。
このまま1人でひっそりと家でキノコを育てながら、老後を迎えるのだと思っていた。
それなのに30歳の時、初めて行った新宿で呼び込まれたホストクラブにハマってしまった。
昔からハマりやすい人間だった。
アニメやゲームにハマっていた時は、まだ平和だった。
お金が掛かるといってもたかがしれている。
キノコにハマり始めてからは、私は給与まで生み出していた。
キノコは趣味が実益に変わる魔法のような素晴らしい趣味なのだ。
しかし、ホストクラブは私の金を食い尽くす恐ろしい趣味だった。
その時の私は研究室でハブられ、陰口を言われ、虐げられて自己肯定感がどん底の状態だった。
研究室では誰も褒めてくれなかった私を褒めてくれたホストのスバルに、まんまとハマってしまった。
全財産を注ぎ込み、借金までした私は親から見捨てられた事で我に返った。
今日でホストクラブに通うのも最後にしようと思った。
私は初めてスバルに弱音を吐いた。
「もう、どうしたら良いのか⋯⋯死にたい⋯⋯」
「いや、売掛払ってから死ねよ。バカ子⋯⋯」
私に聞こえないように呟いたであろうスバルの呟きは私の耳にしっかり届いていた。
目を落とすと暗い照明で誤魔化されているが、床は埃だらけのホストクラブ。このような偶像崇拝の無価値な場所で、なぜ無意味な時間を過ごしていたのかと心が沈んだ。
よく見るとスバルは地黒でサーファー風なイケメンに見せてるだけで、大してイケメンでもない。
彼は意地悪そうに口をひん曲がらせる癖があり、その表情を見ると心が落ち込んだ。
私は彼と話した後にイライラする事も多いのに、彼に会うのをやめられなかった。
普通の女なら彼ごときに貢がないだろう。
店での売り上げも私くらいしか指名客がいないのではないかというくらい低空飛行だ。
しかし、私は普通の女ではなかった。
仕事を辞めた後は精神的に不安定で、褒められることに飢えている病的な女になっていたという自覚がある。
私にとって男の容姿など、そこまで重要ではなかった。
私は自分を褒めてくれる人なら誰でも良かった。
そして、褒めるどころか私を馬鹿にし、金蔓にしていた隣に座る男はもういらない。
自然にありのまま生きるキノコは食品になり、薬になり人の役に立つ存在だ。
その素晴らしさに触れてる時だけ、私の心は澄み渡る海のように穏やかだった。
心の拠り所はキノコだけだったのに、キノコを見ると研究室での辛い日々を思い出し辛くなってしまうこともあった。
キノコから離れ、ホストクラブなどで時間と金を費やしてしまった私は愚か者だ。
私が一生分の稼ぎを貢いだホストのスバルは私が死んでも良いらしい。
しかし、私は死にたいとは思っておらず人生をやり直したいと思っている。
「法外な値段じゃない⋯⋯1000円ちょっとのスパークリングワインを10万円近くで売っていて⋯⋯」
それでも、そういった店で飲み食いしたのだから払わなければいけないのは分かっている。
ただ、私は精神的に普通じゃなくなっていて、それを利用した男に従いたくないだけだ。
「お前みたいなブスと会話してやった手間賃だろうが」
ブス⋯⋯何度も言われてきた言葉は私の心を殺す力を持っていたようだ。
スバルは、私に営業することをやめたのだろう。
面倒な客だと切られたのかもしれない。
今まで私の事を表向きは綺麗だとか、美人だとか煽ててきたのに急に私を貶してきた。
私はその言葉と、スバルの見下すような表情に耐えきれず店を飛び出した。
店を出て気が付くと酒が入った虚な頭で、土手を彷徨っていた。
どれだけ歩いたのか、ここがどこなのかも分からない。
ただ川からは生ゴミのような汚い匂いがうっすらとして、気分が悪くなった。
その時、誰かに押された気もするが、私は川に落ちて死んだようだ。