恋は復讐の後で
side-リオナ
オスカーと私があったのは9歳の時だった。
ヨーカー公爵家と皇家を結ぶ為の政略的な婚約だ。
私に望まれるのは、次期皇帝になるだろう彼を支える事。
「オスカー・ガレリーナ皇子殿下にリオナ・ヨーカーがお目にかかります」
皇宮のバラ園で顔合わせをした時、オスカーは私をじっと見つめていた。
「殿下、如何いたしましたでしょうか?」
「いや、あまりに優雅な振る舞いに見惚れていたんだ⋯⋯すまない、心配かけたね」
殿下は柔らかく微笑み私をそっとエスコートし、庭園を案内してくれた。
(優雅なのは殿下の方だわ⋯⋯美しい人⋯⋯)
殿下は私に毎週のように会いにきた。
5年経つ頃には私たちは名前で呼び合うくらいに打ち解けた。
「オスカー、ハンカチを作りました。宜しければお使いください」
私が妃教育で習った刺繍を見せると殿下は感嘆の声をあげた。
「一針一針、本当に丁寧に刺すんだね。リオナらしい。君は何をやるにも完璧にこなしてしまうね」
「い、いえ⋯⋯そのような⋯⋯恐縮です」
「それに、君は実はその辺の貴族よりずっと賢いよね。話していたらすぐ分かるよ。私の前では隠さないで、どんどん話して! 君の意見を聞きたいんだ」
私は心臓が止まりそうになった。
控えめに、お淑やかに、意見を求められるまでは押し黙るようにしていた。
(殿下は気がついていたの?)
「控えめで、お淑やかなリオナも素敵だけれど、それが君の全てじゃないだろう? 私はどんなリオナも見てみたいんだ。私たちは夫婦になるのだから」
「はい⋯⋯うるさかったら、直ぐに言ってくださいね」
私は、その日から彼の前では政治議論を活発にするようになった。
元々、父が宰相をしている影響で政治には興味があり、勉強していた。
彼は私の意見をよく聞いて、国政に取り入れてくれた。
私は妃教育の合間にオスカーの執務室に入り浸るようになり、空き時間にはよくチェスをした。
オスカーはチェスが得意で、彼に勝ったことがあるのはマテリオ皇子だけだった。
「チェックメイト⋯⋯ふぅ、リオナ、私とチェスをやる時もわざと毎回負けているよね」
「そ、そのような事は」
「君には毎回、私を負かして欲しいんだ。私はこのような凄い女性を妻にできるんだって実感したいんだ」
「は、はい?」
「本当の事を言うと、兄弟で皇位継承権争いをするのは気が進まなかったんだ。私は兄上が皇位を継いで支える事も考えていた。でも、リオナと出会って、このような素晴らしい女性は皇后にしなければと強く思った。だから、未来の皇后陛下、私をどんどん打ち負かして、もっと君に夢中にさせて!」
オスカーは私の前では皇族ではなく、1人の男の顔をしていた。
彼と私は政略的な婚約で、私は器量も決して良くない。
だから、彼と恋に落ちるなんて思っても見なかった。
彼は私に恋と愛を教えてくれた人だった。
初めの人生。
私は人生を賭けて愛し抜くと誓ったオスカーを失った。
彼が亡くなってから、私は必死に彼を取り戻す方法を探った。
そして見つけた「時を戻す魔術」により私は回帰した。
ラリカ様が見つけられず、絶望したがナタリア様が聖女の力でオスカーを回復させてくれた。
私は前世でオスカーを毒殺をした真犯人がエステル・ロピアンだと知った。
オスカーがエステル嬢が犯人であると明らかにした事により、彼女は投獄された。
ヨーカー公爵家と皇家を結ぶ為の政略的な婚約だ。
私に望まれるのは、次期皇帝になるだろう彼を支える事。
「オスカー・ガレリーナ皇子殿下にリオナ・ヨーカーがお目にかかります」
皇宮のバラ園で顔合わせをした時、オスカーは私をじっと見つめていた。
「殿下、如何いたしましたでしょうか?」
「いや、あまりに優雅な振る舞いに見惚れていたんだ⋯⋯すまない、心配かけたね」
殿下は柔らかく微笑み私をそっとエスコートし、庭園を案内してくれた。
(優雅なのは殿下の方だわ⋯⋯美しい人⋯⋯)
殿下は私に毎週のように会いにきた。
5年経つ頃には私たちは名前で呼び合うくらいに打ち解けた。
「オスカー、ハンカチを作りました。宜しければお使いください」
私が妃教育で習った刺繍を見せると殿下は感嘆の声をあげた。
「一針一針、本当に丁寧に刺すんだね。リオナらしい。君は何をやるにも完璧にこなしてしまうね」
「い、いえ⋯⋯そのような⋯⋯恐縮です」
「それに、君は実はその辺の貴族よりずっと賢いよね。話していたらすぐ分かるよ。私の前では隠さないで、どんどん話して! 君の意見を聞きたいんだ」
私は心臓が止まりそうになった。
控えめに、お淑やかに、意見を求められるまでは押し黙るようにしていた。
(殿下は気がついていたの?)
「控えめで、お淑やかなリオナも素敵だけれど、それが君の全てじゃないだろう? 私はどんなリオナも見てみたいんだ。私たちは夫婦になるのだから」
「はい⋯⋯うるさかったら、直ぐに言ってくださいね」
私は、その日から彼の前では政治議論を活発にするようになった。
元々、父が宰相をしている影響で政治には興味があり、勉強していた。
彼は私の意見をよく聞いて、国政に取り入れてくれた。
私は妃教育の合間にオスカーの執務室に入り浸るようになり、空き時間にはよくチェスをした。
オスカーはチェスが得意で、彼に勝ったことがあるのはマテリオ皇子だけだった。
「チェックメイト⋯⋯ふぅ、リオナ、私とチェスをやる時もわざと毎回負けているよね」
「そ、そのような事は」
「君には毎回、私を負かして欲しいんだ。私はこのような凄い女性を妻にできるんだって実感したいんだ」
「は、はい?」
「本当の事を言うと、兄弟で皇位継承権争いをするのは気が進まなかったんだ。私は兄上が皇位を継いで支える事も考えていた。でも、リオナと出会って、このような素晴らしい女性は皇后にしなければと強く思った。だから、未来の皇后陛下、私をどんどん打ち負かして、もっと君に夢中にさせて!」
オスカーは私の前では皇族ではなく、1人の男の顔をしていた。
彼と私は政略的な婚約で、私は器量も決して良くない。
だから、彼と恋に落ちるなんて思っても見なかった。
彼は私に恋と愛を教えてくれた人だった。
初めの人生。
私は人生を賭けて愛し抜くと誓ったオスカーを失った。
彼が亡くなってから、私は必死に彼を取り戻す方法を探った。
そして見つけた「時を戻す魔術」により私は回帰した。
ラリカ様が見つけられず、絶望したがナタリア様が聖女の力でオスカーを回復させてくれた。
私は前世でオスカーを毒殺をした真犯人がエステル・ロピアンだと知った。
オスカーがエステル嬢が犯人であると明らかにした事により、彼女は投獄された。