翠くんは今日もつれない【完】
「は?誰がえろガキだよ、誰が」

「そんな子に育てた覚えはありません」

「そもそもあんたに育てられた覚えもねぇよ」

「た、確かにっ、」



ツン、と冷たく言い放つ翠くんにこめかみを引っ掻きながら苦笑すると「ねぇ。」と低い声が鼓膜を揺らした。

びく、と肩が跳ねる。



「それ、やめない?」

「や、やめるって、なにを…」

「そうやって茶化して逃げようとするの」

「っ、」



やっぱり、、

気の逸らし方がわざとらし過ぎてバレてたか。


翠くんと付き合って、もうすぐで2ヶ月になる。

だけど、あたし達はいまだに、キス以上の行為をしたことがなかった。今まで一度もそういう雰囲気にならなかった、、というわけではない。


いや、寧ろ、何度もあった。


しかし、その度に、あたしが茶化して有耶無耶にしていた。


別に翠くんとそういう行為をしたくないわけじゃない。

わけじゃないんだけど、、



「だ、だって、翠くんとそういう雰囲気になる度に、どうしても小さい頃の翠くんがチラついちゃうんだもん…」

「……はあ、そんなことだろうと思った。」

「えっと、」

「あんたにとっての俺は、いつまでも小さいガキのままだね。」

「ごめっ、」



不機嫌そうに呟く翠くんに慌てて謝ろうと口を開こうとした。だけど、食らいつくように唇を重ねられて、塞がれる。

明らかに翠くんの地雷を踏み抜いてしまった、と思った。
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