翠くんは今日もつれない【完】
「───……ふ、ぁ、、」



あたしの全てを貪るような口付けに、溶かされて、侵食されていく。

お互いの舌が触れ合う度に背筋がゾワゾワと刺激されて、無意識に仰け反らせると、肩に掛けていたタオルがバサッと音を立てて床の上に着地する。


その音に反応して、閉じていた瞼を恐る恐る開くと熱の宿った瞳と視線が絡み合った。



「───……っ、」



す、翠くん、もしかして、ずっと見てたの…っ、

まさか翠くんとのキスに翻弄されている姿を見られていたなんて思わなくて、羞恥に身体を震わせていると、不意に翠くんの手がTシャツの中へと侵入してきて、あの、しなやかで綺麗な指が、あたしの肌の上を這いずり、淫らに触れる。



「はっ、ぁ、、す、すいく、」

「羽依さん、俺が触れて気持ちいいところがあったら教えて。覚えるから」



ヘーゼル色の双眸を細めて甘く微笑むと、あたしの首筋に顔を埋めて、ちゅ、と唇を押し当てて、リップ音を鳴らす。


教えない。

絶対に、教えないよ。


だって、翠くんの触れるところ、全てが、気持ちいいだなんて、、

恥ずかしくて言えるわけないもん。
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