翠くんは今日もつれない【完】
翠くんは疲れきったようにはぁっと深いため息を吐くと「……付き合ってらんねぇ」とリビングから出ていこうとする。だけど、途中で足を止めて振り返って



「クリスマスだからってはしゃいであんま飲みすぎんなよ。姉さんはともかく、あんたはあんまり酒強くないんだから。それを言いたかっただけ」



ちらり、ヘーゼル色の瞳をあたしの方に向けて言うと翠くんは用は済んだとばかりに自分の部屋に戻って行ってしまった。

え、、もしかして翠くん、それを言うためだけにわざわざ来たの?



「翠くん、めちゃくちゃいい子過ぎんか」

「そうそう。うちの弟はね、いい子なんだよ〜。どう?彼氏にする気になった?」



この子はまだあたしと翠くんをくっつけようとしているの?全く碧心は諦めが悪いんだから、、と呆れ顔を向けて



「いや、それとこれとは別だから。それにいい子なら尚更、手を出しちゃダメでしょ」



再び断ると碧心は不服そうに唇を尖らせるとテーブルの上に頬杖をついて「あーあ。なかなか報われないね、翠は。」とぽつり、呟く。



「報わないって何が?」

「お馬鹿な羽依ちゃんに説明してもどうせ分からないだろうから言わなぁい」

「ねぇ、やっぱり碧心さんってあたしのことディスってますよね?」

「羽依が悪いからだよ」



どうしてあたしが悪いのよ。理由を聞いても碧心は「羽依なんかもう知らない」となぜかいじけだして教えてくれなかった。

いや、本当になんで。
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