翠くんは今日もつれない【完】

「は、離して、！」



あたしの手首を掴む黛さんの手を振り払おうとブンブンと腕を振って暴れるけど、簡単には解放して貰えそうになくて、、。

それどころか、抵抗は許さないとでも言うように余計にあたしの手首を掴む手に力を込められて「っ、」痛みに顔が歪む。



「しばらく、会わない間に羽依ちゃんは言いつけの守れない悪い子になったみたいだね。ちゃんと戻っておいでねって言ったのに。」



黛さんの柔和な微笑みが不気味なモノへと塗り変わって「またいい子になるように躾直さないとね。」なんてまるであたしが自分の所有物であるかのように笑った。

なんなの、なんなの、この人。


どくり、どくり、、。


心臓の鼓動がうるさいくらいに跳ね上がって警鐘のように頭の中で鳴り響いた。