翠くんは今日もつれない【完】
《 ねえ。碧心、どうしよう。今日の合コン、黛さんいるんだけど。最悪。》
羽依からそんなメッセージが届いたのは、つい1時間前のことだった。
黛慧悟という男のことは私もよーく覚えている。
羽依の歴代クズ彼氏の中でも群を抜いたクズ野郎で、結婚している身でありながら、年下の、、しかも未成年と不倫するような倫理観の終わっている男。
そんなクズ野郎のことだ、あの頃よりも綺麗に成長した羽依を目にして変な気を起こしてしまうかも、なんて嫌な予感が頭に過ぎって『ねぇ、翠。お姉ちゃんからお願いがあるんだけど、いい?』とスマホの画面からソファに座って寛いでいる翠へと視線を移す。
『……何。』
『今、羽依が合コン行ってるらしいんだけど、』
『……は。』
『そこで元カレと運悪く鉢合わせしちゃったみたいなの。しかもその元カレがなかなかのクズ野郎で、、もしかしたら羽依に対して何か良くないことをするかもしれない』
心配だから迎えに行ってきてくれる?と私が言葉を続けるよりも早く、バタン!とリビングの扉が勢いよく閉まる音が響いていた。
なぁにが“たまたま”よ。
あの状況、どう考えたって羽依のこと助けに行ったって分かりきっているのに。
「もう、いい加減認めたら?」
「……は、何を」
「羽依のこと好きだって」
「……、なんのこと。あの人はただの姉の親友で、」
「嘘吐きめ。」
私は見たんだから。
あの時、リビングの扉が閉まるあの一瞬目にした、いつも冷静で澄ました顔に滲む、焦りの色を。
ねぇ、翠。“ただの姉の親友”に対して、普通はそんな表情しないんだよ。
羽依からそんなメッセージが届いたのは、つい1時間前のことだった。
黛慧悟という男のことは私もよーく覚えている。
羽依の歴代クズ彼氏の中でも群を抜いたクズ野郎で、結婚している身でありながら、年下の、、しかも未成年と不倫するような倫理観の終わっている男。
そんなクズ野郎のことだ、あの頃よりも綺麗に成長した羽依を目にして変な気を起こしてしまうかも、なんて嫌な予感が頭に過ぎって『ねぇ、翠。お姉ちゃんからお願いがあるんだけど、いい?』とスマホの画面からソファに座って寛いでいる翠へと視線を移す。
『……何。』
『今、羽依が合コン行ってるらしいんだけど、』
『……は。』
『そこで元カレと運悪く鉢合わせしちゃったみたいなの。しかもその元カレがなかなかのクズ野郎で、、もしかしたら羽依に対して何か良くないことをするかもしれない』
心配だから迎えに行ってきてくれる?と私が言葉を続けるよりも早く、バタン!とリビングの扉が勢いよく閉まる音が響いていた。
なぁにが“たまたま”よ。
あの状況、どう考えたって羽依のこと助けに行ったって分かりきっているのに。
「もう、いい加減認めたら?」
「……は、何を」
「羽依のこと好きだって」
「……、なんのこと。あの人はただの姉の親友で、」
「嘘吐きめ。」
私は見たんだから。
あの時、リビングの扉が閉まるあの一瞬目にした、いつも冷静で澄ました顔に滲む、焦りの色を。
ねぇ、翠。“ただの姉の親友”に対して、普通はそんな表情しないんだよ。