翠くんは今日もつれない【完】
あたしのこと、す、好きって、、つ、つまり、そういう意味の好きってこと、だよね…?


確かに小さい頃の翠くんはあたしのことを『大好き』ってたくさん言ってくれていたけど、、今の翠くんはあたしと顔を合わせる度に不機嫌そうな態度を取るし『うざい』とか『馬鹿』とか言ってくるし、、


正直、本当にあたしのこと好きなの?って疑問を投げかけたくなる。


だけど、素っ気なくても、ぶっきらぼうでも、翠くんはあたしのことをたくさん気にかけてくれていて、、

今、思い返してみれば、翠くんの瞳が、行動が、あたしのこと好きなんだって伝えていた。


翠くんは真剣だ。

あたしも変に誤魔化したりせず、ちゃんと返事をしないと。



「気持ちは凄く嬉しい。嬉しいけど、翠くんは、、親友の碧心の弟で、あたしにとっても可愛い弟みたいなもので、そういう対象に見れないというか、」

「……」

「その、だから、、ごめんね…」



言い終わると気まずくて視線を外す。


これでもう翠くんと話せなくなるのかな。やっとまた話して貰えるようになったのに、それは凄く寂しいな、なんて、、振っておいて自分勝手なことをぐるぐると考えていると「ふーん。で、言いたいことはそれだけ?」と淡々とした声が鼓膜を掠めた。



「……えっ?」

「悪いけど、俺、あんたに何年も片思いしてて、自分でも自覚するくらいに拗らせちゃってるわけ。そんなしょうもない理由並べられて『はい。そうですか』って大人しく諦めるわけねぇだろ。ばーか。」
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