翠くんは今日もつれない【完】
ほんと、何してんだろ、、あたし。


あたしが止めなきゃいけないのに、拒絶しなきゃいけないのに。翠くんに求められるのが嬉しくて、この快楽を受け入れてしまっていた。


翠くんの気持ちには、まだ答えてないくせに都合良く扱っている。あたしは悪い悪い大人だ。


また、翠くんを穢そうとしている。


あのとき、みたいに───。









「⋯⋯羽依さん。何で、泣いてんの」

「、え」



翠くんに言われて初めて、自分が泣いてることに気づいた。



｢⋯⋯ごめん。あんたの気持ちも考えずに無理矢理、、嫌だったよな。｣



泣いているあたしを見ると翠くんは、どこか傷付いたような顔をして身体を離そうとする、、あたしはそれを止めるように翠くんの首に腕を回して抱きついた。


突然の行動に「は、」と驚いたような低い声が鼓膜を揺らす。



「ち、違うの、あたし、、翠くんとキスしたの、嫌だから、泣いたんじゃないの、」



翠くんとのキスは嫌じゃなかった。

むしろ、、。


自分の気持ちを伝えたいのに、ぽろぽろと涙が止めどなく流れ落ちるから、上手く言葉を纏められない。

どうしよう、熱のせいで涙腺がゆるゆるだよ。



「泣くなよ」

「ほんと、ほんとなの、やじゃないよ」

「わかった。わかったから」



泣いてばかりのあたしをあやすように背中を優しく撫でる翠くん。これじゃ、あたしの方が子供みたいだ。
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