翠くんは今日もつれない【完】
あの人と出会ったのは、俺が6歳の頃。
社交的でいつも輪の中心にいるような兄さんと違って、殻に閉じこもって家族以外の人間には決して心を開こうとしない姉さんに出来た初めての友達。
それが、あの人だった。
「あこおねえちゃんのおともだち?」
声を掛けたのは、単なる興味本意。あの人間嫌い姉さんが仲良くなったは、一体どんな人なんだろう、と気になったから。
振り返ったその人は、驚いたように目を見開く。
そして、俺より4つ歳上で、俺よりも背の高かったその人は、小さい俺と目線を合わせるように膝を折って「うんっ、そうだよ。あたしは、小柴羽依っていうの。よろしくねっ」と自己紹介をすると、八重歯を見せてにこっと笑う。
そのキラキラと輝くような笑顔が、あまりにも美しくて、眩暈がする。だけど、不思議とその人から視線を逸らしたくなくて、むしろ、ずっと見ていたいとさえ思った。
俺がこんなにも誰かを綺麗だと思ったのは、後にも先にも、羽依さんだけだった。
社交的でいつも輪の中心にいるような兄さんと違って、殻に閉じこもって家族以外の人間には決して心を開こうとしない姉さんに出来た初めての友達。
それが、あの人だった。
「あこおねえちゃんのおともだち?」
声を掛けたのは、単なる興味本意。あの人間嫌い姉さんが仲良くなったは、一体どんな人なんだろう、と気になったから。
振り返ったその人は、驚いたように目を見開く。
そして、俺より4つ歳上で、俺よりも背の高かったその人は、小さい俺と目線を合わせるように膝を折って「うんっ、そうだよ。あたしは、小柴羽依っていうの。よろしくねっ」と自己紹介をすると、八重歯を見せてにこっと笑う。
そのキラキラと輝くような笑顔が、あまりにも美しくて、眩暈がする。だけど、不思議とその人から視線を逸らしたくなくて、むしろ、ずっと見ていたいとさえ思った。
俺がこんなにも誰かを綺麗だと思ったのは、後にも先にも、羽依さんだけだった。