翠くんは今日もつれない【完】
「───、」
見開かれたままのヘーゼル色の瞳が大きく揺れ動いて、途端に、自分の唇を隠すように口元に手の甲を当てた。
手の隙間から見える白い頬に朱が注がれる。
翠くんのその反応に、先程の自分の大胆な行動を思い返して、かぁ、とあたしまで赤面した。
あたしも翠くんも、お互い顔を赤くしたまま何も言えずに俯いていると、沈黙を破るように「良かったねっ!翠!念願叶って両思いじゃんっ!!」と明るい声が聞こえた。見ると夢芽ちゃんが無抵抗の翠くんの背中を、ばしばしっ!と強く叩いていて。
ぽかん、と、その様子を見ていると不意に大きな青い瞳があたしを捉えた。そして、一気に距離を詰められると、夢芽ちゃんは、にこ、と笑顔を浮かべる。
「あなたが羽依さんですよねっ!わたし、翠の従兄妹の潮谷夢芽(しおたに ゆめ)っていいます!聞いてた通りお綺麗ですねっ!!」
夢芽ちゃんはあたしの手を握ると、ぶんぶん、と勢いよく振り回した。
なんというか、、凄く元気な子だ。
従兄妹同士でも翠くんとは、全然雰囲気が違う…って、従兄妹…??
「従兄妹、なの?翠くんの??」
「はいっ!従兄妹です!」
あたしの問い掛けに夢芽ちゃんは元気よく頷いた。よ、良かった。従兄妹なら呼び捨てするのも普通だよね。
ふたりの関係性がようやく分かったことに安堵して、ほっ、と胸を撫で下ろしていると
「……夢芽。お前、もう帰れ」
と、突然、翠くんがあたしと夢芽ちゃんの間に割り込んでくる。
そして、夢芽ちゃんの肩を、グイグイ、押して帰るように促すと「はいはい。お邪魔虫はさっさと退散しますよーだっ」と夢芽ちゃんは不貞腐れたように、ぷく、と頬を膨らませながら踵を返した。
帰っていく夢芽ちゃんを見送っていると、ふいに翠くんの手が重なる。びく、と肩を揺らして見上げると、翠くんが悪戯っぽく微笑んだ。
「夢芽には悪いけど。ようやく、2人っきりだね」
「っ、う、うん、」
「ねぇ。さっきの続き、聞かせてよ」
見開かれたままのヘーゼル色の瞳が大きく揺れ動いて、途端に、自分の唇を隠すように口元に手の甲を当てた。
手の隙間から見える白い頬に朱が注がれる。
翠くんのその反応に、先程の自分の大胆な行動を思い返して、かぁ、とあたしまで赤面した。
あたしも翠くんも、お互い顔を赤くしたまま何も言えずに俯いていると、沈黙を破るように「良かったねっ!翠!念願叶って両思いじゃんっ!!」と明るい声が聞こえた。見ると夢芽ちゃんが無抵抗の翠くんの背中を、ばしばしっ!と強く叩いていて。
ぽかん、と、その様子を見ていると不意に大きな青い瞳があたしを捉えた。そして、一気に距離を詰められると、夢芽ちゃんは、にこ、と笑顔を浮かべる。
「あなたが羽依さんですよねっ!わたし、翠の従兄妹の潮谷夢芽(しおたに ゆめ)っていいます!聞いてた通りお綺麗ですねっ!!」
夢芽ちゃんはあたしの手を握ると、ぶんぶん、と勢いよく振り回した。
なんというか、、凄く元気な子だ。
従兄妹同士でも翠くんとは、全然雰囲気が違う…って、従兄妹…??
「従兄妹、なの?翠くんの??」
「はいっ!従兄妹です!」
あたしの問い掛けに夢芽ちゃんは元気よく頷いた。よ、良かった。従兄妹なら呼び捨てするのも普通だよね。
ふたりの関係性がようやく分かったことに安堵して、ほっ、と胸を撫で下ろしていると
「……夢芽。お前、もう帰れ」
と、突然、翠くんがあたしと夢芽ちゃんの間に割り込んでくる。
そして、夢芽ちゃんの肩を、グイグイ、押して帰るように促すと「はいはい。お邪魔虫はさっさと退散しますよーだっ」と夢芽ちゃんは不貞腐れたように、ぷく、と頬を膨らませながら踵を返した。
帰っていく夢芽ちゃんを見送っていると、ふいに翠くんの手が重なる。びく、と肩を揺らして見上げると、翠くんが悪戯っぽく微笑んだ。
「夢芽には悪いけど。ようやく、2人っきりだね」
「っ、う、うん、」
「ねぇ。さっきの続き、聞かせてよ」