さよならダメ恋、またきて初恋。
第2話
○通学路(1話の続き)
紬「あの、私のことが好きって……」
目を潤ませてドキドキしながらたずねる紬。
そんな彼女を真剣な顔でまっすぐに見つめる渚。
紬「本、当……なの?」
渚が口を開く。
渚「嘘ついてどーすんだよ」
前のめりになった渚が、ちょっとムスッとした顔で返事をする。紬は肩がジャンプするほどおどろいて、目をまん丸くさせる。(二人共横向きのアングル)
渚「ずっと前から好きだったんだよ。毎日一緒にいたときも引っ越してからも、ずっと紬のことばかり考えてた」
紬「…………」
紬、真っ赤にさせて汗をかいた顔。下を向いて口元に両手を当てている。
モノローグ【まさか、初恋の人と両想いだったことがあっただなんて……】
渚「……」
渚、「やっぱりな」と言いたげな、眉尻を下げてため息をつく。
渚「まあでも、急にこんなこと言われても困るよな」
紬「へ……?」
はた、と顔を上げる紬の顔を、渚は真面目な顔つきでじっと見つめる。
渚「でも、俺の気持ちは本気だし、きっと一生変わらないと思う。だから、紬に好きになってもらえるように頑張るから」
モノローグ【渚くんは、ああ言ってたけど】
○2年B組教室 黒板前 (翌日 昼休みが始まったばかり)
モノローグ【いったい、何をするつもりなんだろう……?】
紬・心の声(昨日のこと、考えるだけで顔が熱くなる……)
目を半分ぐらい伏せて、頬を染めた顔をを少しうつむいて黒板の文字を消している紬(横向きのアングル)。
背後ではクラスメイトたちが、「やっと昼休みだー」「早く食堂行こー」など気の合う仲間に声をかけ合って、ドアから外へ出て行く。
紬・心の声(それにしても、上の方に書かれた文字、全然届かないな~……。先生、高いところに書き過ぎだよ~‼)
黒板の上の方に書かれた文字を消そうと苦戦する紬。
黒板消しを持ったまま、ぴょんぴょんとジャンプするが、まったく届かない(後ろからのアングル)。
紬・心の声(このままじゃ、昼休み終わっちゃうよ~……!)
泣きそうな顔でぎゅっと目をつむる紬の隣に、片手を伸ばした渚がスッと現れる(正面からのアングル、渚の顔は目から上が見切れている状態)。
渚「大丈夫か?」
伸ばした手に黒板消しを持った渚が、顔だけ紬の方を向いて声をかける。
紬「なっ……、渚くん!」
おどろく紬。紬が届かなかった部分の文字を消す渚を、あせあせという効果音がするほど、へどもどしながら止めようとする。
紬「い、いいよ手伝わなくて! 今日の日直の私の仕事なんだからっ……」
しかし、渚は黒板の文字を消す手を止めない。
渚「気にすんなって」
紬「え?」
渚「黙って見ているのがほっとけなくて、俺が勝手にやってることだから」
紬「あ、ありがとう……」
紬・心の声『懐かしいな。こんなこと、前にもあったっけ……』
紬、小学生時代のことを思い出す(小学生の紬が「届かなーい!」と黒板消しを持って飛び跳ねている横に、小学生の渚が「まかせろ!」と黒板消しを持った手を上に伸ばしている思い出がデフォルメ絵で描かれる)。
莉紗「紬~っ! 一緒に中庭でランチしよーっ!」
開けっ放しの教室のドアから、大きなトートバッグを持った莉紗と、大きなクーラーバッグを抱えた奏多が現れる。
紬「うっ、うん……!」
奏多が現れてドキッとしつつもうなずく紬。
渚「それ、俺も参加していい?」
すかさず渚が莉紗に声をかける。
莉紗「いいよ! まあ、最初から結城くんを歓迎するつもりで来たんだけどね!」
奏多「そのために、朝から張り切っていろいろ作ってきたんだ」
奏多が「ほら」と、渚に大きなクーラーバッグを見せつける。
渚「すげーな」
目を丸くしておどろく渚。
○中庭 (十分後ぐらい)
木陰の下の芝生の上に敷いたレジャーシートの上に、蓋を取った大きなランチボックス、4つ重なったプラスチックの取り皿などが置かれているイラストが描かれる(ランチボックスの中には、種類の豊富なサンドイッチのほか、おいしそうな卵焼き、唐揚げ、ハムで作った薔薇の花、レタス、ミニトマト、ポテトサラダが詰め込まれている)。
紬「うわぁーっ! すっごい豪華!」
目をキラキラさせておどろく紬。
莉紗「さあ、座って座ってー」
向かいにいる莉紗が、紬に笑顔で声をかける。
紬・心の声『まさか、羽瀬くんの手作りのお弁当を食べることになるなんて……』
ドキドキしながら唇を軽くかみしめてうずうずする紬だが、渚がいないことにはたと気づく。
紬「あれ? 渚くんは?」
奏多「さっき、ジュースを買いに行くって言ってたよ。先に食べてていってさ」
紬「そ、そっか」
ドキドキしながらレジャーシートの上に正座をする紬。箸で大きなランチボックスの中の卵焼きを取り、一口かじる。
紬「この卵焼き、すっごくおいしい……!」
奏多「それはよかった」
目を細めて感動する紬。にっこりと微笑む奏多(ふわふわとした背景)。
渚「おまたせ」
ちょっと不機嫌な表情をした渚が、紬の頬にメロンソーダのペットボトルを当てて登場。
紬「ひゃっ⁉ 冷たっ……な、渚くんっ⁉」
おどろく紬に渚が、紬にメロンソーダのペットボトルを差し出す。
渚「はい、これ」
紬「あ、ありがとう……。って、これ……」
渚「紬が昔、よく飲んでたメーカーのやつ。今も好きかなって思って買ってきたんだけど……」
目を見開く紬の顔アップ
モノローグ【もうずいぶんと昔のことなのに、覚えていてくれたんだ……】
紬「ありがとう。これ、今でもすごく好きなんだ」
ふわっと花が咲いたように笑う紬と、ハッとしたように見惚れる渚。
莉紗「あれ? あれれ?」
目をぱちぱりさせて、そわそわする莉紗。
莉紗「紬と結城くんってどーいう関係なの⁉」
興味津々とばかりに前のめりになって、ずばっと聞く莉紗。
渚はフッと意味深げに笑う。
それから、紬の肩を抱いて自分の方へ引き寄せる。
渚「どういう関係に見える?」
目をハートにしてキャーッと黄色い声を上げる莉紗と、メガネの奥の目を見開いて、呆気に取られる奏多。
奏多「え? 二人って付き合ってるの?」
紬、ぎこちない顔のまま固まる。
モノローグ【ど、どうしよう】【今ので、ものすごい誤解を招いてしまったみたいです】
紬・心の声(違うの~っ‼)
青空背景、ふき出しの端に目をぎゅっとつむって口を大きく開けた紬の顔のデフォルメ絵。
紬「あの、私のことが好きって……」
目を潤ませてドキドキしながらたずねる紬。
そんな彼女を真剣な顔でまっすぐに見つめる渚。
紬「本、当……なの?」
渚が口を開く。
渚「嘘ついてどーすんだよ」
前のめりになった渚が、ちょっとムスッとした顔で返事をする。紬は肩がジャンプするほどおどろいて、目をまん丸くさせる。(二人共横向きのアングル)
渚「ずっと前から好きだったんだよ。毎日一緒にいたときも引っ越してからも、ずっと紬のことばかり考えてた」
紬「…………」
紬、真っ赤にさせて汗をかいた顔。下を向いて口元に両手を当てている。
モノローグ【まさか、初恋の人と両想いだったことがあっただなんて……】
渚「……」
渚、「やっぱりな」と言いたげな、眉尻を下げてため息をつく。
渚「まあでも、急にこんなこと言われても困るよな」
紬「へ……?」
はた、と顔を上げる紬の顔を、渚は真面目な顔つきでじっと見つめる。
渚「でも、俺の気持ちは本気だし、きっと一生変わらないと思う。だから、紬に好きになってもらえるように頑張るから」
モノローグ【渚くんは、ああ言ってたけど】
○2年B組教室 黒板前 (翌日 昼休みが始まったばかり)
モノローグ【いったい、何をするつもりなんだろう……?】
紬・心の声(昨日のこと、考えるだけで顔が熱くなる……)
目を半分ぐらい伏せて、頬を染めた顔をを少しうつむいて黒板の文字を消している紬(横向きのアングル)。
背後ではクラスメイトたちが、「やっと昼休みだー」「早く食堂行こー」など気の合う仲間に声をかけ合って、ドアから外へ出て行く。
紬・心の声(それにしても、上の方に書かれた文字、全然届かないな~……。先生、高いところに書き過ぎだよ~‼)
黒板の上の方に書かれた文字を消そうと苦戦する紬。
黒板消しを持ったまま、ぴょんぴょんとジャンプするが、まったく届かない(後ろからのアングル)。
紬・心の声(このままじゃ、昼休み終わっちゃうよ~……!)
泣きそうな顔でぎゅっと目をつむる紬の隣に、片手を伸ばした渚がスッと現れる(正面からのアングル、渚の顔は目から上が見切れている状態)。
渚「大丈夫か?」
伸ばした手に黒板消しを持った渚が、顔だけ紬の方を向いて声をかける。
紬「なっ……、渚くん!」
おどろく紬。紬が届かなかった部分の文字を消す渚を、あせあせという効果音がするほど、へどもどしながら止めようとする。
紬「い、いいよ手伝わなくて! 今日の日直の私の仕事なんだからっ……」
しかし、渚は黒板の文字を消す手を止めない。
渚「気にすんなって」
紬「え?」
渚「黙って見ているのがほっとけなくて、俺が勝手にやってることだから」
紬「あ、ありがとう……」
紬・心の声『懐かしいな。こんなこと、前にもあったっけ……』
紬、小学生時代のことを思い出す(小学生の紬が「届かなーい!」と黒板消しを持って飛び跳ねている横に、小学生の渚が「まかせろ!」と黒板消しを持った手を上に伸ばしている思い出がデフォルメ絵で描かれる)。
莉紗「紬~っ! 一緒に中庭でランチしよーっ!」
開けっ放しの教室のドアから、大きなトートバッグを持った莉紗と、大きなクーラーバッグを抱えた奏多が現れる。
紬「うっ、うん……!」
奏多が現れてドキッとしつつもうなずく紬。
渚「それ、俺も参加していい?」
すかさず渚が莉紗に声をかける。
莉紗「いいよ! まあ、最初から結城くんを歓迎するつもりで来たんだけどね!」
奏多「そのために、朝から張り切っていろいろ作ってきたんだ」
奏多が「ほら」と、渚に大きなクーラーバッグを見せつける。
渚「すげーな」
目を丸くしておどろく渚。
○中庭 (十分後ぐらい)
木陰の下の芝生の上に敷いたレジャーシートの上に、蓋を取った大きなランチボックス、4つ重なったプラスチックの取り皿などが置かれているイラストが描かれる(ランチボックスの中には、種類の豊富なサンドイッチのほか、おいしそうな卵焼き、唐揚げ、ハムで作った薔薇の花、レタス、ミニトマト、ポテトサラダが詰め込まれている)。
紬「うわぁーっ! すっごい豪華!」
目をキラキラさせておどろく紬。
莉紗「さあ、座って座ってー」
向かいにいる莉紗が、紬に笑顔で声をかける。
紬・心の声『まさか、羽瀬くんの手作りのお弁当を食べることになるなんて……』
ドキドキしながら唇を軽くかみしめてうずうずする紬だが、渚がいないことにはたと気づく。
紬「あれ? 渚くんは?」
奏多「さっき、ジュースを買いに行くって言ってたよ。先に食べてていってさ」
紬「そ、そっか」
ドキドキしながらレジャーシートの上に正座をする紬。箸で大きなランチボックスの中の卵焼きを取り、一口かじる。
紬「この卵焼き、すっごくおいしい……!」
奏多「それはよかった」
目を細めて感動する紬。にっこりと微笑む奏多(ふわふわとした背景)。
渚「おまたせ」
ちょっと不機嫌な表情をした渚が、紬の頬にメロンソーダのペットボトルを当てて登場。
紬「ひゃっ⁉ 冷たっ……な、渚くんっ⁉」
おどろく紬に渚が、紬にメロンソーダのペットボトルを差し出す。
渚「はい、これ」
紬「あ、ありがとう……。って、これ……」
渚「紬が昔、よく飲んでたメーカーのやつ。今も好きかなって思って買ってきたんだけど……」
目を見開く紬の顔アップ
モノローグ【もうずいぶんと昔のことなのに、覚えていてくれたんだ……】
紬「ありがとう。これ、今でもすごく好きなんだ」
ふわっと花が咲いたように笑う紬と、ハッとしたように見惚れる渚。
莉紗「あれ? あれれ?」
目をぱちぱりさせて、そわそわする莉紗。
莉紗「紬と結城くんってどーいう関係なの⁉」
興味津々とばかりに前のめりになって、ずばっと聞く莉紗。
渚はフッと意味深げに笑う。
それから、紬の肩を抱いて自分の方へ引き寄せる。
渚「どういう関係に見える?」
目をハートにしてキャーッと黄色い声を上げる莉紗と、メガネの奥の目を見開いて、呆気に取られる奏多。
奏多「え? 二人って付き合ってるの?」
紬、ぎこちない顔のまま固まる。
モノローグ【ど、どうしよう】【今ので、ものすごい誤解を招いてしまったみたいです】
紬・心の声(違うの~っ‼)
青空背景、ふき出しの端に目をぎゅっとつむって口を大きく開けた紬の顔のデフォルメ絵。