クズ男から愛の花束を君に
♡1天音
じめじめした雨の季節が過ぎて数日、土曜日のお昼を回って比較的穏やかな時間が流れている少し古びた喫茶店に響く呆れ声。



「やっと別れたんだ?だから言ったじゃない、あんなクズ時間の無駄って」

冷えたグラスに入ったアイスコーヒーを一口、口に含んでそう伝えたのはあたしの親友、美香だ。

「うん、さっきここに来る前に電話して伝えてきたよ」あたしもアイスコーヒーを飲みながら向かいに座る美香にそう話した。冷たすぎるそれは外の気温に反発するように体内の温度を少し、下げてくれた。



そう、あたし南天音(みなみ あまね)は今日彼氏と別れたのだ。彼氏と言っても付き合って一ヶ月、大学内で会ったら少し話しをする程度。告白されて付き合ってたはずなのにデートはおろか、一緒に帰ったり食事をした事もなかった。それどころか、彼氏の周りには常に女の子がたくさん。あたしってほんとに彼女なの?って不安な気持ちが付き合い始めて数日後には感じていた。それを美香に相談したところ、彼は女の子遊びが趣味のクズ男だったと理解して、あたしもお遊びの一人だったんだと気付かされたのだ。
そして今日電話一本で彼に別れを告げた。まぁ、彼からしたらお遊び相手が一人減ったくらいで何とも感じないのだろうけど、一応短い期間とはいえ、あたしは付き合っていたのだから最後くらいちゃんとしたかった。直接会って伝えようとも思ったけど会う約束もしていないのに?って考えた結果だ。



「よし、あたしが男紹介するよ!天音の事、可愛いって言ってるやついんのよね〜!天音、美人なんだからいつまでもクズに構ってないで次いこ、次!女は恋愛が大事よ!」

綺麗にアートされたネイルでびしっ!とあたしに告げてきた美香。

「ん〜暫く恋愛はいいや、あたし」

「何枯れた事言ってんの!あたしたち、まだ19歳よ!とりあえず、明良(あきら)っていうんだけどそいつに会ってやってよ!出会いは大切よ?」


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