クズ男から愛の花束を君に
「知りたい?」


涙で濡れた琥珀色の瞳の背後にはの真っ暗な夜空から覗く下弦の月の光。


月の光に照らされた天真を見て、何故だか言いしれない恐怖か不安かもわからない気持ちを感じた。


未だアパートの玄関ドアの前で抱き締められたままのあたし。いちゃついてるわけではない。


「ね、部屋入れてよ?天音。夜に部屋行くって言ったただろ?ちゃんと話そう?」


なんだか、天真の体温が高いような気がする。もしかして外にいたから軽い熱中症にでもなっているのだろうか。部屋に入れるのに全く抵抗が無い訳ではないが、ここで倒れられても困る。遊びのあたし相手に変な気を起こす事もないだろうし、飲み物を出して少し休憩させてついでに話もしとこうか。いつまで続くかわからないが明日以降も大学で待ち伏せされたら困る。

「わかったよ。あたしも話したい」


そうして、あたしは真っ暗な部屋の中に天真を入れた。天真をこの部屋に招くのは初めてだった。
まさか別れてから部屋に元彼を入れるとは思っても
みなかった。
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