クズ男から愛の花束を君に
天真の纏う雰囲気が暗く歪んだように見えた気がした。いつものヘラヘラした雰囲気なんてなく、瞳もキラキラしてない。


「天真…?」


「ねぇ、この服誰の?この部屋に泊まるような男がいるの?そいつの事、好きなの?」


「違うよ!お兄ちゃんの!ちょっと心配性だからよく様子見に来て、職場が近いからそのまま泊まったりもするの!」


「ああ、お兄さんね。なら許す。」


(何を許すの?)

今日の天真はいろいろ情緒が不安定だ。
別れたら終わりと思ってたけど、天真をバッサリ切り捨てられないのは、あたしも天真をまだ好きだからなんだろう。それもそうだ、天真は知らないがあたしは天真をちゃんと好きだった。外見だけでしょ?っていわれるけど、こんな綺麗な人と付き合えたら嬉しいし、付き合おうと思うよ。
まぁ、一つ言い訳するなら、あたしは顔もだけどこの、琥珀色の瞳に惹かれたんだけどね。


「で、天真の話って何なの?」


この不穏な雰囲気を打ち消したくて少し明るく発言した。
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