クズ男から愛の花束を君に
暫く天音の寝顔をじっとり、俺の脳内に焼き付けるように眺めていた。

(俺だけの可愛い可愛い眠り姫)

二人だけの静かで幸せな空間に鳴り響く、バイブレーション音。

(誰だよ)

ローテーブルの上に置いてあった天音のスマホ。
それに表示される名前は、

❝明良❞ 

の文字。

(明良…?あぁ、あの邪魔者か。天音に電話してくんじゃねーよ)

勝手に人の電話に出るなんて真似はしねーが、正直、それをぶっ壊したい。そんな俺の気も知らないだろう相手からの、未だしつこく鳴り続けるそれを、睨み続ける俺。

(しつけーやつだな。出る訳ねぇだろ、さっさと諦めろよ)

あまりにも煩いから、憎きスマホを取るため、天音から離れそっと電源を落とした。

(俺たちの世界に邪魔者はお呼びじゃねーんだよ)

そうして、再び天音の横に並び、天音の香りが漂う中、腕の中に天音を閉じ込めながら静かに瞳を閉じた。
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