クズ男から愛の花束を君に
正直言って、天真の料理はお世辞抜きにして美味しかった。はっきり言って、あたしより上手いんじゃない?あの短時間で作ってたのも凄い。しかも、他人の家のキッチンでだ。極めつけは調理器具全て洗い終わっているのだ。なんならシンク周りの拭き上げまで完了している。
女子力高めのクズ男。

(まさか天真の手料理が食べれる日が来るなんて)

ほんと、別れる前の彼とは別人だな。
別れを切り出した時にはこんな日が来るなんて、思ってもいなかった。
今の彼なら、もう一度付き合ったら本当に大切にしてくれるかもしれない。

(…やめよう。また期待して傷付きたくない)


食べ終わった食器類をシンク内に入れたと同時に、天真が脱衣場から出てきた。
その姿を見て、ギョッとした。

「な、何で裸なのっ!?」

「裸じゃねーよ、下は履いてんだろ」
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