クズ男から愛の花束を君に
[天音さ〜ん!]


(来た来たっ!)


倉庫の入口から小走りでこちらに駆けて来る、可愛らしい男の子。
春真くん、高校2年生。
少し幼さが残る綺麗な顔立ちに子犬のような愛らしさ。
あたしと同時期にバイト入りした仲間だ。


「今日、一緒の日だったんですね!やったぁ〜!」

ギュッとあたしの手を両手で包み込む春真くん。

(か、可愛すぎるっ!)

「春真くん、こんにちは。今日も頑張ろうね」

「はいっ!天音さん今日はラストまでですか?」

「そうだよ、春真くんも?」

「はいっ!じゃあ、帰りも送りますね?」

「えっ、大丈夫だよ〜!すぐそこだし、高校生はバイト終わったらすぐに帰りなさい」

「また年下扱いして、俺だって男だし、ちょっと帰る方向が変わるだけですから、だから、ね?俺に遅らせて?」

そうむくれながらも首を傾け言う春真くん。サラりと黒髪が揺れる。

(これが、あざとい系男子?)

いつもこのやり取りをして、毎回申し訳ないなと思いながら結局送って貰っている。
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