クズ男から愛の花束を君に
「…はぁ〜」

溜息をついて振り返る明良くん。

「来るの遅くなってごめん。…何もされてない?」

「ホントよっ!もう少し遅かったらあたし切れてた」

「お前が切れる前に間に合って良かったよ」
苦笑いの明良くん。
「天音ちゃん、大丈夫だった?」

「うん。助けてくれてありがとう、かっこよかったよ。大会中も今も。」

「…!、かわいっ」

「え?」

「なんでもない。天音ちゃん、この後時間ある?話たい事があるんだ」

「うん、大丈夫だよ?あ、でも美香は?」

「あたしは、大丈夫よ〜?試合中にイケメン見つけて仲良くなった人と一緒に帰るから」

そう言って手を振る美香に少し離れた所からこちらに向かって同じように手を振り返しながら来ている男の人。ハーフだろうか?日本人離れした容姿の綺麗な人。

(やたらトイレから帰ってくるの遅かったけど、美香もしかしてナンパしてた?)

美香の行動力は流石だ。


「じゃ、美香も気をつけろよ?
 行こう?天音ちゃん」

あたしの手を握り締め、歩き出した明良くんに静かに着いて行く。
振り返ると美香が親指を立ててウィンクしていた。

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