クズ男から愛の花束を君に
無人の入口を抜けて、パネルが並んだ場所に立ち、

「どこがいい?」
なんて聞いてくる天真。

「なっ、どこがって、どこでもいいよ!」
内心、今日がラブホテルデビューのあたふたしまくっているあたしに、

「じゃ、ここで良いか」
あまり確認もせずに、適当に部屋を選んでパネルを押した。

「行くぞ」
そしてまた、腕を掴まれエレベーターに入り3階を押す。

エレベーターを出て一番端、307とパネルが光っている部屋に迷いなく入る天真。
ドアを締めると自動でロックがかかった。
ガチャン、という音がやけに響いた気がした。

「何もしねぇから、話そうぜ?」

固まるあたしに優しく問いかける天真。

やたらベッドが存在感を出しているのを無視して窓際に置かれた真っ赤なソファーに二人、並んで座った。

「あのさ…」
静かに語りかける天真。
その琥珀色の瞳は真剣だった。
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