クズ男から愛の花束を君に
俺と女の子が唇を合わせていた時、
ガチャン、っと扉が開く音。

キスをしながら横目で確認すると、本を数冊持つ女と目が合った。
そう言えば、自販機のすぐ近くの建物は余り使われていない資料庫だったか?
そんなところで何してたんだ?
俺の思考を遮るように、

《きゃっ、いいとこなのに邪魔しないでよ〜っ!》

女の子が恥ずかしそうに言い、オレの胸元に頬を
寄せる。

(お〜い、ファンデ服に着くんじゃね?)

「あら、ごめんなさい?すぐ立ち去るから気にしないで続けて?」

女は本当に興味無いようで、すぐに立ち去った。
綺麗な黒髪の日本美人。落ち着いたメイクにネイルも何もしていないのに本を持つ指先は綺麗だった。

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