クールなパイロットの偽り妻を演じます⁉~契約外の溺愛はどういうことですか?~


 帰宅してリビングに運び込んだ荷物の中から、白い小さなショッパーを手に取る。

 今日の目的だったエンゲージリングとマリッジリング。

 購入しに行くと告げると案の定彼女は驚いたけれど、小道具のひとつだと言うと納得してくれたようだった。


「真白、来て」


 キッチンに入っていった真白を呼ぶ。「どうしましたか?」と出てきた彼女に手招きした。


「エンゲージネックレス、つけてみないか?」

「あ……はい!」


 大粒の一粒ダイヤモンドのネックレス。

 エンゲージリングの代わりにネックレスを選ぶカップルも増えていると聞き、なるほどと思った。

 仕事柄つけられないのは、うちの職場でもいえることで、ネックレスの方が彼女も都合が良かったに違いない。


「こんな大粒のダイヤ、間近で初めて見ました」

「今日から真白が着けるものだ」

 ケースからネックレスを取り出し、彼女の後ろにまわる。

「髪を上げてくれるか」

「あ、はい」


 真白は長い髪を持ち上げて首を出す。

 慎重に留め具を外し、彼女の首元で着け直した。


「見せて」


 照明を受けてきらりと輝く大粒のダイヤモンド。真白の華奢で白い肌にすごく映えて美しい。


「いいじゃないか、似合ってる」

「本当ですか? 私も見て来てきます」


 そそくさとリビングを出て行く後ろ姿を見送りながら、自然と笑みが浮かんだ。

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