クールなパイロットの偽り妻を演じます⁉~契約外の溺愛はどういうことですか?~
二日遅番の仕事を終え、休日。
今日はシフト上休みが被った野々花とご飯を食べに行く約束をしていて、夕方から待ち合わせた。
野々花が行ってみたいと言っていた足湯カフェレストランで食事をすることに。
足湯に入りながらお茶や食事ができると、話題になった店だという。
店内は女子率が高く、十二月に入って冷えるようになってきた足を温めながらみんな食事を楽しんでいた。
「ねぇ、数日前から気になってたんだけどさ……」
「ん?」
「その、キラキラしちゃってるネックレス。贈り物?」
「こ、これ⁉」
初めてエンゲージネックレスのことに触れられて、あからさまに動揺してしまう。
野々花は「うん」と目を輝かせて私の返答待ち。
「あ、これは、別にそういう……」
そこまで言いかけて、いや、待てよ?と言葉を止める。
ここはなんでもないと隠すのではなく、遥さんとのことを話すのがきっと正解。
この間、遥さんも桐生機長に話していたし、自分からべらべら話すわけではなく、こんな風にじわじわ知れ渡っていくのを遥さんは狙っているのだ。
でも、偽装結婚だということが私を引き留める。
遥さんとは、条件を満たせばいずれ終わる関係。
だけど、今は偽装結婚のことは誰にも言えない。仲良くしている野々花にも言うことができない。
今は騙すような形になってしまうことに後ろ髪を引かれる思いなのだ。
すべてが終わったら、野々花にだけは実は……と打ち明けたらいい。
そう心の中で決め、再び口を開いた。