クールなパイロットの偽り妻を演じます⁉~契約外の溺愛はどういうことですか?~
隠しても仕方ない。本音をぶつけると、遥さんは黙って私の話を聞いてくれる。
「真白?」
俯く私を、遥さんが静かに呼ぶ。
どんな顔をすればいいのかわからないまま、ゆっくりと顔を上げた。
「それなら、夫婦らしいことをすれば自覚できるだろ」
え?と思った時には引き寄せられ、端整な顔が目の前に迫っていた。
驚く間もなく唇に柔らかいものが触れ、口づけを落とされていると気づく。
え……なん、で……?
思考が止まりかけたところで、重なった唇が離れていった。
元通りの距離間に戻ったところで、目が合って一気に顔が熱くなる。
どくどくと心臓が激しく音を立て、外まで響いているような気がした。
「真っ赤な顔しちゃって、かわいい」
赤面した頬を、遥さんの指先に撫でられる。
固まってしまった私をくすっと笑い、遥さんはキッチンを出て行った。
ひとりきりになっても、鼓動の高鳴りが治まらない。
確かに触れ合った唇の感覚に、手で口元を覆っていた。