クールなパイロットの偽り妻を演じます⁉~契約外の溺愛はどういうことですか?~
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自室に入り、小さく息をつく。
フライト後すぐから、激しく変化する感情の変化に自分でも戸惑っている。
数日ぶりに日本に戻ることは、真白のいる家に帰れるのを楽しみに帰国した。
偽装夫婦として一緒に住み始めてから、徐々に帰ることに大きな意義を感じ始めていた。
今まで帰国すること、帰宅することに、大きな喜びなど感じなかった。真白と知り合い一緒にいるようになってからの大きな変化だ。
逸る気持ちを抑えて戻ったところ、元カレだという男に捕まっている真白を偶然見つけ、感情が一気に昂った。
真白が断っているにも関わらず、何度も声をかけて迫る粘着質。
迷うことなく出て行って、ひと言言ってやろうと足が向かっていた。
彼女は自分の妻。はっきりそう言ってやったことはなにより快感で、爽快だった。
でも、なにか物足りない。もやもやとする。
それはなんだろうと、数日ぶりの再会を喜ぶ間もなく考えていた。
『なんか、おこがましいような、なんというか。私が、遥さんの妻だなんて、つり合いが取れていませんし』
彼女のこの言葉で、自分の秘めていた想いにはっきりと気づいた。