クールなパイロットの偽り妻を演じます⁉~契約外の溺愛はどういうことですか?~


「真白」


 鍋の前に立つ遥さんから声がかかる。


「はい」

「来週のシフトはどんな感じか訊こうと思ってたんだ」

「来週、ですか?」


 来週は二十三日からの週で、早番からのスタートだった記憶だ。シフトを振り返る。


「月曜日が早番で、火曜日は休み。その次の日は遅番で……」

「火曜日、二十四日は休みなのか」


 一週間すべてを知らせる前に遥さんが訊く。


「え……あ、はい」

「予定は?」

「予定は……特にないです」

「それなら、空けておいてほしい」


 十二月二十四日、クリスマスイブだ。


「わかりました」


 遥さんは「よろしく」と微笑み。再び鍋の中に視線を落とした。


 二十四日、クリスマスイブ……。


 そんな日に予定を開けておいてほしいなんて言われると変な期待が高まってしまう。

 鍋敷きや箸をセッティングしながら、いったいなんだろうと考えていた。

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