孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
9、募る気持ちの結末は
二十時過ぎ。スマートフォンに入ってきた遥さんからのメッセージに、安堵で胸を撫で下ろしていた。
【遅くなって悪い。今から帰る】
ミュンヘンからの帰国便が着陸間際に被雷を受け、遥さんが操縦するジェット機は関西国際空港へ緊急着陸をした。
被雷したジェット機は点検のため関西国際空港に残し、代替機の手配後、代替便にて羽田に戻ることになると、そこまでを聞いて私は勤務を終えた。
仕事を終えてからもなかなか退勤する気にならず、オフィスに留まっていた。
私にはなにもできることなんてないのに、それでもいつものように帰ることができなかった。
結局、お昼には仕事を終えたのに、帰宅したのは十八時過ぎだった。
いつも通り、何事もなく帰国すると思っていたし、今までもそうだった。
だけど、機体に被雷を受けたと聞いたときは正直動揺した。
衝撃を受けた機内は騒然としただろうし、そんな中で遥さんがダイバードを決断したと聞いて動悸が止まらなかった。