クールなパイロットの偽り妻を演じます⁉~契約外の溺愛はどういうことですか?~
10、エピローグ


 桜の開花が話題に上がり始める四月上旬。

 パイロットの制服姿の遥さんに手を引かれ、向かう先は明日、挙式披露宴を行う式場のエントランス。


「高坂様、三森様、お待ちしておりました」


 担当のウエディングプランナーがにこやかに迎え入れてくれる。そして、拍手をして「わぁぁ」と歓喜の声を上げた。


「パイロットにグランドスタッフカップル! 本当に素敵なおふたりの担当ができて光栄でございます」


 遥さんも制服だけれど、私自身も今日は制服で会場へ最終打ち合わせに訪れている。

 それが許されるのは、私たちが選んだ式場が羽田空港内にある結婚式場だから。

 チャペルからも、披露宴会場からも羽田空港の旅客機の離着陸が望める私たちカップルにとってベストマッチな会場だ。

 挙式披露宴を挙げようという話になった時、遥さんのご両親も含め、満場一致でここにしようと話がまとまった。

 パイロットの遥さんと、グランドスタッフを勤める私。これ以上にぴったりな場所は他にない。

 招待する面々も基本は空港関係の人間ばかり。地方から招待している人々も、会場が空港ならアクセスもしやすいといいことだらけだった。

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