クールなパイロットの偽り妻を演じます⁉~契約外の溺愛はどういうことですか?~
四月第二週目の土曜日。
お昼前からの挙式に向け、私は朝七時から式場衣装室に入っていた。
ヘアメイクを済ませ、着付けスタッフの元、純白のウエディングドレスドレスに着替えていく。
ドレスは、遥さんとふたりで選んだ。
たくさんの展示の中から、私の目を引いたドレスを、陽さんも目をつけていてあまり悩まずに試着。
『真白、天使みたいに綺麗だ』
姿を見せた私に遥さんが開口一番言った言葉で、このドレスにしようと即決だった。
Aラインのノースリーブデザインで、最大のポイントは天使の羽をイメージしたふわふわのオフショルダ―。
どの角度から見てもぬかりなく可愛らしい。
ドレスの表面は繊細な刺繍とスパンコールで花が散りばめられていて華やかだ。
「真白」
改めてドレスを身に纏った自分を確認していると、遥さんの声が聞こえてくる。
振り向くと、タキシード姿の遥さんが控え室に入ってきたところだった。
衣装決めの時も思ったけれど、遥さんのシルバーグレーのタキシード姿は極上で、私を含めその場に居合わせた女性の視線を一斉に集めていた。
ひとり頬を熱くしていたのをごまかしていたのは遥さんには内緒だ。