クールなパイロットの偽り妻を演じます⁉~契約外の溺愛はどういうことですか?~
羽田空港から自転車で十五分ほど走ったところに、今も住む私の生まれ育った家がある。
家の二階のベランダからも旅客機が飛び立っていくのがよく見えて、私は幼い頃からそれを見るのが大好きだった。
朝も昼も夜も。晴れも曇りも雨の日も。いつ見ても飽きない。
澄み切った青空に飛び立っていく旅客機、黄昏時の夕焼け空から帰ってくる旅客機。
時間、天気で空は様々な表情を見せ、そこに離着陸する旅客機を見ていると穏やかな気持ちになれた。
自分は空と、そして飛行機という組み合わせが好き。
そう気づいた頃からそれを絵で表現するようになり、今はその水彩画が趣味で自分の癒しになっている。
だから仕事も、空と旅客機を近くで感じられる仕事に就きたかった。
そこで自然と将来の夢目標にしたのはグランドスタッフだった。