孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
あの時の雰囲気から、高坂機長が困っているのかもしれないというのはなんとなく察した。
客室乗務員の難波さん。彼女ときっと互いの親がらみで将来の約束でもさせられているのかもしれない。
でも、高坂機長には結婚願望がなく、難波さんとの縁談は進めたくない。
だから、いいタイミングで通りかかった私を交際相手に仕立て上げ、難波さんからの猛アプローチから逃れたのだ。
そこまでは察しがついたけど、だけど、その後何度考えてもそこからがおかしいのだ。
どうして私に偽装の妻になれなどと言ったのか……。
もともと友達でも、知り合いでもない。ただの通りがかりの私に白羽の矢が立ったことはいくら考えても答えが導き出せなかった。
あの時はその場の勢いでそういう流れになったのかもしれないと思っていた。連絡先まで交換してしまって……と。
でも、こうして改めてプライベートな時間に会う約束を取り付けてくるということは、高坂機長も冗談ではなかったということ。
だとすれば、私としても真剣にその話に返答しなくてはならない。
私には引き受けられない、と……。