孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~


 良かった、一階のお店みたい……。


 高坂機長に続いて入っていったレストラン内は、天井が高くフロア中央部分が吹き抜けになっている。

 建物の一階だけれど、このレストラン部分だけが中庭に突き出しているような構造になっているのだ。

 案内されたのは最奥の中庭を間近にした席だった。

 ガラス張りに向かって横に並んだような形で席が用意されている。

 黒服に椅子を引かれ、恐縮しながら腰を下ろした。


「アフタヌーンティーのドリンクメニューになります」


 席についたところで、すぐに黒服からドリンクのメニューが出される。

 高坂機長に倣ってメニューを見、高坂機長はアールグレイティー、私はアイスのオペラミルクティーをオーダーした。


「女子はアフタヌーンティーが好きだと聞いたが、そういうものなのか」


 ふたりきりになると、高坂機長が訊く。

 周囲ではデートや女子会で行ったなんて話を耳にしたことはあるけれど、アフタヌーンティーなんて私は初めて。これまで行く機会が無かった。


「私は初めてなんですが、みんな好きみたいですね」

「初めてなのか」

「あ、はい……」


 高坂機長は「そうか」と言い、急に黙り込む。どうしたのだろうと様子をうかがっていると、すぐに口を開いた。

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