孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「まさか、甘いものが嫌いだったか」
「あ、いえ、そういう訳ではないです」
私がアフタヌーンティーに行ったことがないなんて言ったから、甘い物が苦手なのかと思ったようだ。
そういうことではないとしっかり否定する。
オーダーからさほど待つことなく、ドリンクが運ばれてくる。続いて、様々なスイーツの載ったケーキスタンドが運ばれてきた。
金縁の馬車のようなケーキスタンドには、スコーンやマカロン、ババロアや一口サイズのケーキなどが並ぶ。
「わぁ……」
初めてのアフタヌーンティーを目の前に、自然と感嘆のため息が漏れた。
「今日は都合をつけてもらって悪かったな」
テーブルの準備が整うと、早速本題を切り出されてピリッと気持ちが引き締まる。
つい目の前の豪華なスイーツに気を取られてしまったけれど、今日会った目的はこの間の話の続きだ。
アフタヌーンティーを楽しみに来たんじゃない。
真の目的を再確認していた私をよそに、高坂機長は「どれにする?」と私のスイーツを取り分けようと訊いてくる。
「あっ、すみません。では、スコーンを……」
気遣いに感謝し、お言葉に甘える。でも、優雅にスイーツをいただいている場合ではない。