クールなパイロットの偽り妻を演じます⁉~契約外の溺愛はどういうことですか?~
4、偽装夫婦の休日デート



 赤や緑、ゴールドの装飾が街のいろいろなところで目につく十二月上旬 。

 世間はクリスマスを間近にして盛り上がっている季節だ。

 偽装夫婦としての生活が始まって早くも半月。

 大小心配があった中始まった偽装夫婦生活。

 でも、思っていたより穏やかに過ごせている。

 というのも、この半月間、遥さんは国際線のフライトでマンションを空ける日もあり、向こうが休日の日は私が出勤だったりと、このマンションで共に過ごす日はわずかだった。

 パスタを一緒に食べた初日、話した通り寝室のベッドで一緒に眠った。

 ベッドの左右におのおの入り眠った感じだ。

 遥さんはベッドに入って本を読み始め、私はその横でスマートフォンで連載を追っている漫画の続きを読んだ。

 私の方が先に寝る前のスマートフォンチェックが済み、「おやすみなさい」と声をかけて眠りについた。

 遥さんはその後眠ったのだろうけれど、朝起きるとすでにベッドからいなくなっていた。

 そんな感じでひとつのベッドで眠っても特に問題もなく、案外こんなものかと安堵した。

 偽装結婚なんて、ドラマや漫画の中の世界のことで、それが現実に、しかも自分の身に降りかかって動揺しっぱなしだったけれど、始まってみれば普通に静かに過ごしていればなんてことない。フィクションのように、次から次へとなにかが起こることもないのだ。

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