クールなパイロットの偽り妻を演じます⁉~契約外の溺愛はどういうことですか?~


 店内で急にあんなことを言い出して、困らせてしまったかもしれない。もしかしたら、怒らせてしまったのかも……。

 エンゲージリングを見るのに候補を上げていたと言っていたし、きっと予定を狂わせてしまった。

 申し訳ない気持ちがじわじわと押し寄せてきた時、となりから「悪かった」と謝罪の言葉がかけられた。


「え……? いや、私こそすみません、あんな店内でいきなり」

「いや、構わない。むしろ意見をしてくれてよかった」


 返された言葉、声の調子で遥さんが怒っていないことを察しホッとする。


「もっと、ちゃんと話さないとだめだな。勝手に決めて、勝手に進めよういとするからこうなる」


 反省ともとれる言葉に、思わず「いえ!」と声が出る。


「私が怖気づいただけですから、遥さんがだめとかそういうことではないです」

「そういうことも含めて、事前に話しておくべきだってこと。そもそも、結婚指輪を買いに行くことだってさっき言ったしな」

「それは……確かに驚きましたけど」


 今日は生活に必要なものを買いに行こうとさらっと話していたくらいで、こんな重要な小道具を買い求めにくるとは思ってもみなかった。

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