王子は愛しき姫の目覚めを待つ
「藤川さんは、神田さんのこと好きなんですか?」
「え……」
「仕事してても、飲み会でも神田さんのこと気にしてたから。目が覚めたとき、隣にいたのが神田さんじゃなくてがっかりさせたかなって」
「……ううん。坂嶺くんで良かった……です」
「じゃあ俺のこと褒めてください。神田さんから奪ったことも、藤川さんのエロい下着姿を前に理性を保ってることも」
「え、えらい!?……と、あ、ありがとう……」

 戸惑いながらも催促された褒め言葉とともにお礼を言うと、嬉しそうに微笑んで私の首すじに坂嶺くんが顔を埋め、すり寄せるようにして甘えられた。
 さらさらの髪がくすぐったくて心までくすぐったくなる。
 彼の顔が良すぎるからだろうか。
 突き放すことも出来ずに、つい、かわいいと思ってしまった。

「坂嶺くんて、なんか甘え上手……?」
「末っ子なんで」

 そう言ってにこりと微笑み彼はふたたび目線を合わせてくる。
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