追放シスターは王子の一途な恋に気づかない〜癒しの精霊師になったので今日もせっせと薬草茶を淹れます〜
ヘルガは外から修道士を呼び、救護室へ総主教たちを連れて行くようにお願いをした。
「聖騎士の方が仰っていたように、私がここで治癒を使っては他の候補者との公平性が失われるかもしれません。とはいえ、総主教様の大事なお身体に何かあっては大変です。どうか救護室で手当を」
ヘルガが胸の前で手を握り締めて懇願する。司教や聖騎士たちもヘルガの意見に賛同し、総主教は救護室で診察を受ける運びとなった。
修道士に連れられて総主教一行が礼拝堂からいなくなる。足音が遠ざかっていくのを確認した司教とヘルガは、ぐるりとこちらに身体を向けた。
「おいミア! おまえ、よくもわしに恥をかかせたな!!」
「え、私!?」
突然怒鳴られたミアは目を白黒させる。
ランプの爆発にどうして自分が関係あるのだろう。しかし、すぐにおおよその見当がついた。
(ランプの動力源は魔法石で、魔力を補充したのは私。司教様は私が何か細工したと思ってるんだわ)
魔法道具は定期的にメンテナンスしないと不具合が起こる場合がある。普段は倹約のために使わないでいたランプなら尚更だ。
「それはメンテナンスが……」
ミアは状況を説明しようとして身を縮めた。 何故なら、司教もヘルガも顔を真っ赤にして怒り狂っているのだから。