追放シスターは王子の一途な恋に気づかない〜癒しの精霊師になったので今日もせっせと薬草茶を淹れます〜
第6話 魔物討伐と秘めた恋
サフィン王国では魔物討伐が十日で終わり、負傷者が少なく済んだ。
被害が少なかったのはユースの風の防御による守りとミアが作った薬のお陰だった。
風の防御は風圧の壁をつくり、魔物が触れると吹き飛ばす仕様になっている。飛ばされた魔物が地面に激突し、昏倒している隙を狙って騎士達が討伐するという流れができていた。
また、ミアの薬は即効性があり、負傷者はすぐに持ち場へ復帰できた。怪我の回復以外にも身体能力を上げる効果があり、騎士達は実力以上の力を発揮したのだった。
「此度は王国に尽くしてくれて感謝する」
謁見の間にて。ミアは今回の討伐で一番の功労者として、国王から感謝の言葉を伝えられていた。
ミアは深々と頭を下げる。
「恐縮でございます」
「其方にはこれからもこの国に貢献して貰いたい」
「もちろんです。これからも精霊師としてたくさんの人を支えていきます。そのためにも今後は市井に入ります」
「待て」
ミアが今後を語っていたら、不意に後ろから声がする。頭を上げて振り返れば、憮然とした顔のユースが立っていた。
「どこへ行く? ミアは私付きの精霊師だろう?」
仁王立ちしているユースはどこか怒っていた。困った表情をミアは浮かべる。
「私はユース様や皆様に良くしていただきました。その恩に報いたいんです」
それに市井に入る理由はもう一つある。