追放シスターは王子の一途な恋に気づかない〜癒しの精霊師になったので今日もせっせと薬草茶を淹れます〜
ミアはしくしくと痛む胸の上に手を置く。
(ユース様が私のお茶を美味しいと褒めてくださったあの時から私は………)
ずっと見ないふりをしてきた。けれど、それももうそろそろ限界に来ている。
これ以上ユースと一緒にいたら、自分の溢れる想いを伝えてしまう。
今の関係を壊したくない。ミアがこれからも良好な関係を続けていくには距離を取るしかないのだ。
ユースはミアの両肩を掴んだ。
「行くな。私にはこれからもずっとミアが必要だ」
ミアの胸がドキンと跳ねる。これからも必要だなんて言われたら期待してしまう。愚かにも自惚れてしまう。
ユースの顔が見られなくてミアは下を向く。
「そんな風に言われても困ります。私は精霊師とはいえ、ただの平民です。ここにいるのは場違いなんですよ」
王宮に仕える精霊師は皆少なからず何かしらの爵位を持っている。だからこそ自分はこの場に相応しくない。
これ以上勘違いして恥を掻きたくない。
――だから、どうかこの手を放して。
すると、今まで国王の隣に座っていた王妃が口を開く。