追放シスターは王子の一途な恋に気づかない〜癒しの精霊師になったので今日もせっせと薬草茶を淹れます〜
「ミアはルビリア王国の者だから知らないようですね。精霊師は王族との結婚が許されているのですよ。……かく言うわたくしも、もとはただの平民でした」
「え?」
想像していなかった内容にミアは吃驚して王妃を見る。王妃は優しく微笑んだ。
「出身国や身分は関係ありません。もし、愚息を少しでも気に入っているのなら応えてあげてください」
ミアは声を呑んだ。否、出せなかった。
(それってつまり……)
胸の鼓動がどんどん加速する。泣きそうな目でユースを見たら、こっくりと頷かれる。
「私はミアが好きだ。私は初めて会った時から心を奪われてしまっている。だからどうか私の妻になり、側にいてくれ」
ユースの言葉に全身が震えた。自分の気持ちに蓋をしなくていい。素直になっていいんだ。
ミアは一筋の涙を流す。
「私もずっとお慕いしておりました。私でいいなら是非おねが……」
返事をし終える前にユースがミアを抱き締めてくる。
「私はミアがいいんだ」
「んっ」
ミアはユースに噛みつくようなキスをされた。あまりに突然だったのでびっくりしたが、彼の唇は柔らかくて甘かった。
その甘さを、ユースの熱をもっと感じたくて、ミアはゆっくりと目を閉じた。