極愛〜狙われたら最後〜
彼女の名前は鈴木雫というらしい。
そして雫についてZが話し出した。

その話はなかなか壮絶な生い立ちだった。

雨の降る日、公衆トイレで産み落とされた彼女は通行人によって保護され施設で五歳まで育つ。

施設では、後から知ったらしいが夜な夜な施設長のオヤジに悪戯をされていたとか。

組織で使える人材を探していた所で彼女が目に止まり引き取ったらしい。

義務教育は受けておらず、ひたすら英才教育とスパイやアサシンとしてのノウハウを叩き込んだらしい。

そして場合によっては身体も使うと。

それを聞いた瞬間、嫉妬から受話器を叩き割りそうになった。

身体を使う事に抵抗がないのか…。

『Sはあの美貌で数々の男を虜にし地獄送りにしてきた女です。任務として近づいてくるはずですが、その後の保証は…』

「わかってる。その後はなんとかする」

『本来うちの組織は身元がバレたり、任務に失敗するような事があればその時点で組織の中で始末してきました。今回は例外中の例外です』
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