極愛〜狙われたら最後〜
ガチガチの護衛の中なかなかやはり近づけない様子の雫。

そんな中、七瀬として会合に出席するため他の会社の奴らと、秘書などに扮した組員を引き連れて歩いていれば急に雫が現れた。

これは想定外だ。

今は七瀬として出掛けているので、組員も派手に動けずにいる。

俺は咄嗟に転びそうになった雫を抱き抱える。

今はタイミングが悪い。

「気をつけて」

俺はそう言って直ぐにその場から離れた。

そして歩きながら自分の手を見て振り返る。

シルバーのスパンコールのドレスを身に纏い着飾った彼女からは、かぐわしい女性らしい香りとお酒の匂い、そして僅かに火薬と血の匂いがした。

仕事してきたのか。

「大丈夫ですか?」

組員が俺に耳打ちする。
でもこれは逆に良かったのかもしれない。

「ああ。一目惚れしてしまったかもしれない」

なんて言っておく。

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