極愛〜狙われたら最後〜
その日結局、龍臣は帰ってこなかった。

まぁこんな日もたまにはあったからそこまで気にしてなかった。

でも目が覚めた時に龍臣がいないベッドは広すぎて、冷たい。

いつの間にか一緒に朝を迎える事が当たり前になっていて、こうして一人で迎えてみて気づく。

部屋はまだぼんやりと薄暗い。
時計を見ればまだ朝の5時前だった。

その時けたたましいインターホンの音の後数人の足音が聞こえてきて寝室を開けられた。

「姐さん! 若が!」

私は半沢の声で飛び起きる。

「龍臣がなに!」

「若が…今病院に…」

病院!?

「すぐに連れて行って!」

私は急いで龍臣が買ってくれた服を着て半沢たちと病院へ向かう。

「姐さん。驚かずに聞いてください」

いつも寡黙な半沢が珍しく慌てている。

「若ですが、一時的なものだそうですが記憶が一部なくなってるそうです。そして、目が…」

「記憶? 目?」

「手術を受けたので回復する見込みですが、しばらくは視力が…見えないそうです」

「何があったの?」

「実は昨日、大きな取引があって。そこを狙った他の組から雇われた奴らに襲われました」

それって…
私とは別の組織で同業のやつの仕業ね。
しかも単独ではなく複数人で…



< 160 / 268 >

この作品をシェア

pagetop