極愛〜狙われたら最後〜
その女に引き取られどこかのビルに連れて行かれて、私は五歳から英才教育を受けた。

そしてスパイと暗殺のノウハウを全て叩き込まれた。

逆らえば鞭打ちが待っていたし、施設でもオヤジに夜な夜な変なことをされていたので、それなら大人しく従っていた方が身の為だった。

もちろん、幼稚園も義務教育もなし。
それなのに、役所の人間も訪問しに来ない。

私はもしかしたらはなからこの世に存在していない事になっているのかもしれない。

適当に知らない誰かに付けられた名前。
何が雫よ。
私が拾われた時雨が降ってたからだって。

はっ。笑える。

だったら雨でいいじゃない。


『…だ』

「え? なんて?」

おっといけない。
すっかり別な世界に飛んでいた。
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