極愛〜狙われたら最後〜
傷跡に新しいガーゼを当てられて、お腹の子を診る。

「ほら。わかるか?」

そう言って頭のサイズなどを計り出していく。

「順調に成長してる」

良かった…。

「これからどんどん大きくなるからな。退院する頃には安定期に入る」

お腹に塗ったジェルをナースが丁寧に拭いてくれて診察が終わった中谷は部屋から出て行った。

新しくもらった写真を2人でまた見る。

「本当にお腹にいた…」

「ああ。俺たちの愛の結晶だ」

その後、組長や将臣さんも顔を見せてくれて半沢も来た。

半沢は私を見るなりブァッと目に涙を溜める。
え!?

「半沢。廊下」

半沢を見て龍臣が声をかける。

「へ、へい!」

廊下に出て行った半沢の泣き声が部屋まで聞こえてきた。

「なんか…」

「ああ。あいつ意外と涙もろいらしい」

「ははは!」

笑う私を見て龍臣も微笑んだ。

ここの病室は前に龍臣が入院した時もここだった。
でもその時は中谷先生ではなく、眼科の専門の先生が手術をしたらしい。

それで見た事なかったのか。

「雫。少し休みな」

「うん。ありがとう。龍臣も」

「ああ。ありがとな」

そして私は幸せな気持ちを胸に目を閉じて夢の世界に旅立った。
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